Skip to main content
戻る

Tencent GamesグローバルCEOのミシェル・リウが語る、ゲーム業界の未来のためのGaaS活用法

ゲーム業界トップレベルの専門イベント「Game Developers Conference (GDC)」は、ゲーム開発者コミュニティ同士であらゆるトピックにまつわるアイデアや見識を共有できる場だ。Tencent GamesグローバルCEOのミシェル・リウは、GDCと同時に開催された「Women Impact Tech Conference」に参加する機会を得た。

20年以上ゲーム分野で培ってきた経験により、リウは独自の視点と貴重な洞察力を持つに至った。偶然ゲームと出会い、このメディアに対する情熱を自らの内に発見した彼女は、ゲームが社会にポジティブな影響を与えられる可能性はますます大きくなってきていると感じている。そしてこの動向は差し迫っているというのだ。

「ゲームの世界は常に変化して拡張しているので、時々この仕事には困難が立ちはだかる。ゲーマーたちが我々に期待しているのは、既存の枠を超えた、新しくパーソナライズされたゲーム体験を届けること。変わり続ける要望が、私たちにとってつながりと自己表現を妨げる古い障壁を壊す原動力になっている」と、リウは語った。

社会を変える「サービスとしてのゲーム」

ゲーマーたちの願いを叶える一つの方法が、現在人気が高まっているビジネスモデルの「Games as a Service (GaaS)」(サービスとしてのゲーム)だ。ゲームの新規もしくはアップデートされたコンテンツを定期的にユーザーに提供することで価値を
生み出し、ニーズに合わせてゲームを進化させていく仕組みである。

世の中がデジタル化したことで、新世代のプレイヤーたちは従来のあり方に満足できなくなっている。彼らが抱えているのは「強い自己表現の欲求」で、それは「もはやゲームは、他者と繋がることができないような、閉鎖的で一回限りの固定された体験を与えるだけではいられない」と、リウは言うのだ。

彼女によるとGaaSはプレイヤーに対して効果的にサービスを提供することができ、主に3つの要素において長続きするインパクトを生み出すことができるという。まず初めに、GaaSはもしかするとゲーマーでない人々も新たに引き寄せることができる。クロスプラットフォーム化でPCとコンソール、そしてモバイル間の障壁がなくなるからだ。

「『原神』のように、30時間近く優れたコンテンツを、PC、コンソール、モバイルいずれのデバイスでも無料で遊べるゲームというのは、無料プレイとクロスプラットフォーム機能を組み合わせてプレイヤーの基盤を広げ、世界的に絶賛された好例だ」と、リウは付け加えた。

さらにGaaSはプレイヤーがゲームに参加するあり方を変えた。一本道の進行に縛られるのではなく、GaaSモデルで作られるゲームは「何通りもの道筋があってMOD可能、ダイナミックな物語があり、絶えず新コンテンツがアップデートされる傾向」にある。実際にプレイヤーたちは積極的に創作を推奨されていて、そこで生まれたコンテンツが、やがてはコミュニティや開発側に加わることが期待されている。

最後に、GaaSモデルの持つソーシャル要素はプレイヤー同士を今までよりつながりやすいものとする。ゲームの楽しさを中心にして関係性を築くことができるのだ。

「昨今はオフラインでの交流がますます難しくなっているが、人々は今も社会との接点を渇望している。ライブサービス型のゲームならプレッシャーのないバーチャルな場所を提供できて、純粋な人間関係を花開かせることができる」。

Tencent Gamesにとって、GaaSは企業精神の根幹の一部を成している。そして長年に渡ってゲーム制作に関わるチームたちが積み重ねてきた貴重な経験は、ポジティブな変化を起こすために様々な方面に活かされているのだ。

ポテンシャルを活用する

リウは、プラットフォームを超えて世界中のプレイヤーを団結させ、グローバル規模の現象となった『PUBG MOBILE』、そして世界で最もプレイされたマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナゲーム『王者栄耀』を例に挙げた。

双方とも無料でプレイ可能で、GaaSモデルの条件にぴったりと合う。前者は世界で一日のピーク時の参加プレイヤー数が5千万人を記録したバトルロイヤルゲームで、「誰にとっても豊かで多様な体験を作り出している」。後者はオンラインバトルアリーナモバイルゲームだが、最適化されたコントロールに絞られたマップ、そして短いプレイ時間がモバイルゲームのプレイヤーに合っているのだという。

本質的に、どちらのゲームもモバイルゲームの認識を変えるのに絶大な影響を与えた。それはGaaSについてもある程度同様で、かつてこれらのタイトルは従来のAAA製品の前では見劣りしていたものだ。上記の2作品は新コンテンツの制作によって常に新しさが保たれており、プレイヤーのフィードバックを取り入れて、遅れを取らないように進化を続けている。

これらの将来性について熱心に語るリウにとって『PUBG MOBILE』と『王者栄耀』の成功は、まだ始まりに過ぎない。

「ゲーム業界はこれまでも最先端のテクノロジーの応用と振興という意味において、最も活発に活動してきた。Tencent Gamesは高品質のインタラクティブ・エンタテインメントの開発だけでなく、科学や教育、そしてカルチャー部門とも協働して、ソーシャルグッドのためになるゲームも積極的に開発する」と、リウは話した。

例えば、AIDSの予防とコントロールについて学べる『Blue Bridge Café』や、役立つ知識と共に腫瘍を治療するシミュレーションを体験できる『Tumor Doctor』、そして『Seeing』は視覚障害者が直面する障壁に対する理解をプレイヤーに促すゲーム。どれもGaaSモデルをさらに応用させた代表例だ。

社会に良いインパクトを与えて次世代に良い未来を作るための伝達手段としてゲームを扱うことは、多くがないがしろにしがちであることかもしれない。しかし、Tencent Gamesグローバルとリウが目指す先は、まさにこれなのである。

「将来を見据えると、Tencent Gamesはゲーム業界全体にさらなる可能性を生み出し続けると同時に、テンセントグループとしてのミッションとビジョンを追うことにも尽力するだろう。つまりそれは企業の社会責任を果たすため、『ユーザーのための価値、世のためのテクノロジー』を作り出すことだ」と、リウは語った。

Back to top